「沢渡君、酔っ払っちゃってるのー?」
少し離れた場所から、先輩の声が聞こえて
「捕まってしまいました…」
と、がっちりホールドされてる自分の手を先輩に見えるように高く持ち上げる…。
半泣き状態の隣で
人の手をホールドしながら殆ど、うたた寝状態の先輩…。
「沢渡君ね、いつも酔いが冷めるまでそんな感じだよー。
今日の沢渡君のお守りは結花ちゃんだねー」なんて…
えっ⁉
凄い嫌なんですけどっ⁉
助けてくれないわけ?
最悪…
助けを求めるべく、先輩…方に熱い視線を向けても
みんな、我関せずといった様子で立ち話やなんやらに夢中だ…。
「沢渡先輩…
食べ物の恨みは恐いんですからね…
休み明け、覚えて置いて下さい」
みんなが
私の大好きなスイーツを食べる所を
遠目に見ながら
こんな思いなら…
表彰式終わった時に、どうとでも言って帰れば良かったと今更ながら後悔…。
「先輩…寝るなら家で寝たほうがいいですよー?」
「家は無くなった。」
「たぶん、いつもの場所にあるはずですよ?」
「家に帰っても優しく解放してくれる彼女なんていないもん。」
酔っ払いの愚痴は面倒くさい。
人の手をホールドしながらテーブルに突っ伏していた先輩が、突然ガバっと体を起こした。