僕、樅木照史(モミキ アキト)の後ろを歩く女性の名は、赤城 美千流(アカギ ミチル)。高校3年生には見えない、大人な雰囲気と、誰からも視線を奪う美貌を持つ事で、この学校、椿原高等学校や、他校にまで伝わっている。
今やこの町で、彼女を知らない人は少なくはない。


そんな美千流が、僕の後ろを歩いている。いや、もう隣、と言っても過言ではない。
ああ、緊張する.........


これから、手紙で伝えた様に、口で想いを伝えることに、僕の鼓動は早くなっていった。裏庭まで後数mほど。


「ごめん、こんなに歩かせて。裏庭までだから」


後ろを少し向きながら申し訳なさそうに笑う。


「ううん、時間はたっぷりあるし、授業に遅れても、しっかり復習すれば大丈夫だから。気にしないで」


そう言って笑う美千流に、また堕ちていく僕だった。