『初めて見た時から好きでした。


僕と付き合ってください。

返事は、水曜日の放課後、渡り廊下で』




「初めて見た時から、ねえ......」


人は見た目だけじゃあないのよ?

グシャリ、と便箋を丸め、ゴミ箱へ放り込む。壁にあたり、ゴミ箱へ入った便箋を見つめ、ふふっ、と笑をこぼす。

彼女からは妖艶なオーラが滲み出、長い睫毛、整った眉、見開かれた大きすぎない瞳、高い鼻、シュッとした赤い唇。誰もが目を惹くような顔を持つが、そのルックスに合わないほどの性悪。


「私を呼ぶには、それなりのセンスと文才がいるのよ」


ガラステーブルに置かれるアンティークな模様が描かれた便箋に爪を立てる。



『風が吹くたび、揺れるその光る髪
汗が滲んだ項
名前を呼ばれる度に両端による整った唇


そして、その澄んだ瞳に僕は恋をしました。

返事、待っています』



愉しそうに目を細め、唇を舐め、ゆっくりと口を開いた。


「コイツに決定」