「寧々ちゃん、寧々ちゃん!!起きて!!朝だよ!!」

誰かの甲高い、うるさい声が、オレの眠りを妨げる。

「う‥‥ん。誰だよ。」

微睡みの中で、目が覚めたオレの前には、魔裟斗のアップの顔が‥‥‥。

「うわっ!!魔裟斗、驚かすなよ!!」

オレの上に跨っている、魔裟斗に怒鳴った。

「寧々ちゃん、お・は・よ❤」

そう言って、男にしては、細身の身体に似合わず、力の強い魔裟斗に抱きしめられて、頬にキスをされた。

その瞬間、真っ赤になったオレは、再び、魔裟斗に怒鳴ることとなる。

「魔裟斗!!いつも言ってるだろう!?こういうことは『ヤメロ』って!!」

すると、魔裟斗は、クスクスと笑いながら、

「寧々ちゃんって、相変わらず、見かけに寄らず、『純情』だよねぇ。」

そう言って、まだ笑っていた。

クソォ〜!!

魔裟斗のヤツ、からかいやがって!!

オレ、『優木寧々【ゆうきねね】』。

今日から、めでたく、高校生になる。

そして、『優木魔裟斗【ゆうきまさと】』。

オレの双子の兄である。

毎朝、こうやって、オレをからかいにくるイジワルなヤツだ。

「寧々ちゃん。僕、先に下に降りて、朝ご飯、食べとくね。」

そう言うと、魔裟斗は、オレにウィンクして、

「あっ、そうそう。佑宇真、ウチで朝ご飯、食べてるよ!!」

一階に降りて行った。

ええっ!?

佑宇真、ウチにもう来てるのか!?

魔裟斗のヤツ〜、それ、早く言えよ!!

オレは、ベッドの上で地団駄を踏んだ。

「寧々。お前、何、一人で百面相してるんだ?」

いきなり声をかけられたので、びっくりした。

「うわっ!?佑宇真!!」

『冴樹佑宇真【さえきゆうま】』。

オレと魔裟斗の幼なじみである。

「早く、支度しろよ!!魔裟斗も待ってるぞ!!」

佑宇真は、オレのパジャマ姿なんて、何とも思ってないって顔で、そう言うと、一階に降りて行った。

ちぇ!!

何だよ!!

バカヤロー!!

いつも冷静な面ばっかりしやがって!!

「もう少しぐらい、オレのこの『姿』に意識してくれてもいいじゃんかよ。」

オレは、ぶつくさと呟きながら、身支度を始めた。