コツ

ぐっすり寝ていたのに誰かに起こされた。
……消しゴム?

「おはよ、朱里」


そこにはそれはもう文句なしくらいのとびっきりの笑顔を浮かべた王子と呼ばれる悪魔がおりました。

うん、見なかったことにしよう。

そう言ってまた寝ようとするが。

「授業、聞かなくていいの?」

……。

「それとも俺にキスされて起こされたいの?お姫様?」

………。

「昨日は普通のしたから今日は激しいのしよっか」

「…せんわ!誰があんたなんかと!!」

「……桜咲さん?何をしないの?」

「あ、いえ、なんでもないです」

「っぷ。ばかじゃねぇの?」

「はぁ?元はと言えばあんたがねぇ!」

「桜咲さん!ここの英文訳してちょーだい」

怒られた……。

あたし何も悪くないのに。

「早く訳せよ。それともわかんねぇの?」

……むっかつくーー!

訳せばいいんでしょ、訳せば!!!!

「最近の医療の発展のおかげで今まで治らなかったとされる病気がなおるようになってきた。………」

「か、完璧です」

ありがとうございます。

「やっぱお前ってすげーんだな」

え、褒められた?

悠斗の意外な言葉に驚いてポカーンとしてると

「普段は間抜け顔してんのにな」

むっかつくーー!

なんなのあいつ。

なんでそんな突っ掛かってくんのよ。

ん?

てかあたしが相手しなきゃいいだけか。

大人な朱里だからね。

無視だ無視。

うん、こんなやつのことなんて、あたし知らない。