これは実際にあったとあるホストの物語!
Vol.1 旅立ち
手に持った荷物は鞄一つ。
これ以上のモノは必要なかった。
煙草の火を消して改札を抜けた瞬間、雑音が消える。
目指した場所は新宿。
怖いもの知らずの幼いボクにとってそこ以外の場所を選ぶ理由もなかった。
目的はない、ただそれまで居た場所との決別を選んだだけ。
その時は不思議と出来てしまったのだ、大事なヒトすら置き去りにすることが。
到着して東口を出た時、空はいつもより狭かったけど、抜けるような青空だったことを不思議と今でも鮮明に覚えている。
ココから始まる1つのストーリーの中で無数な選択肢に迫られ、しかしその中で答えを選択しなければならないという恐怖をこのときの弱冠二十歳のボクはまだ知らない。