携帯電話を受け取ると光俊は一言二言航と言葉を交わしてから電話を切った。

「主催者側には片岡さんが伝えておくから、こちらからは連絡とらなくていいそうですよ。パーティー自体はもう終わってるから戻らなくていいそうです」

「ああ、そう。なんか、美雪にも迷惑かけちゃったな」

「ま、いいんじゃないっすか。舞さんが参加してあげたおかげで片岡さんも参加して、結果、ハッピーになれたんですから」

「ハッピーね」

「それより、どうしますか?まっすぐ帰りますか?」

「どういう意味?」

「もう痛くないんっすよね?」

「うん、まぁ、痛くはないけど。まっすぐ帰らないでどうする気?」

「別にどうするって決めてないっすけど」

「何それ」

「いや、舞さんも片岡さんに負けず劣らずオシャレしてきたわけだから、まっすぐ帰るのもどうかな~と思って」

光俊にそう言われ、思わず自分の服装に目を落とし、確かに少々気合を入れてきたことを思いだし、恥ずかしくなる舞。

「・・・」

「とりあえず、歩きますか?」

そう言うと、光俊はスタスタと歩き出す。が、舞は未だ動かず。

「ん?」

付いてくる気配がないのに気づき、光俊は立ち止って、後ろを振り返ると、後方20メートルぐらいに、まだ立ち止っている舞を見つけた。

「もぉ~。早くっ、早くっ」

大きな声で舞に手招きしながら呼びかけた後、光俊は小さく呟いた。

「・・・こっちだって結構ビビってんだよ」