次の日、十分すぎるくらいよく寝たのにスッキリしなかった。
寝すぎちゃったや…。
鏡を見ると、左側だけ髪が跳ねている。
お気に入りのピンクの櫛で髪を解いた。
けど、なおらなかったからもうほっといた。
学校に行くと、靴箱で友達の咲紀と会った。
「おはよ、咲紀!」
「おはよ!祐希昨日大丈夫だった?」
「あぁ…。顔面キャッチのコト?」
「あははっ!うん、そう。」
「痛かった。」
「だと思った‼︎」
たわいのない話ばかりしながら教室に入った。
すると、黒板には波瀬の文字と山本の文字が書かれていた。
縦並びに。
相合傘で。
ピンクのチョークで描いちゃって…。
「どういうこと?」
サッパリ意味がわからない。
「お前聞いてないの?」
1人の男子に私は言われた。
「いや、だから何をって…」
「お前がな、キャッチミスして倒れた後、山本がお前を抱えて保健室に連れて行ったんだぜ?」
初聞き。
初耳。
「……えっ⁇」
私は、顔が赤くなるのを抑えて怒ってる風に見せた。
「いいから早く消してよね!」
男子は私の動揺しなさに、おもちゃを取られた子供のように、くだらなそうに、違う遊びヘと変えていった。
「……ごめんね、祐希。知らない方がいいと思って。」
「咲紀の考えが私のためってのは私もわかってるよ。ありがと!」
私のためにと黙っててくれた咲紀。
よかった、この事を知れて。
だって、咲紀の良いところがまた一つ知れたもの。