彼が譲ってくれた椅子で私は本を読む。
暖かい日も夕焼け色に染まっていた。
本に夢中になっていた私は、鴉が6時を知らせるまでそこにいた。
帰りは夕焼け空の下帰った。
青と赤、オレンジとピンクと紫と、いろんな色が重なり合っている夕焼けのコントラストは、とても綺麗だった。
そして、横道にある川はそのままの夕焼け空を照らし合わせていた。
「綺麗……。」
私は川沿いの方に降りて、少し遠回りで家へと向かった。
「ーーあれっ?」
川沿いには誰もいないと思っていた。
ーが、
「誰かいる…?」
真っ白ワンピース。
風になびく黒い髪。
スラリと綺麗なスタイル。
透き通った瞳。
優しそうな目つき。
柔らかそうな唇。
ただ一人立たずんでいう彼女は、とても美しい女性だった。