『どーいたしまして。』
泣くな、私。
絶えなきゃ。
泣いたら、好きだってばれちゃうもん。
『・・・じゃー私、もう帰るから。』
震える声でつたえたまま、私は走り出した。


「・・・ら？」
「んん～・・・。」
「そらー？」
「っ！」
がばっと顔を上げると、そこにはヒヨリの顔。
私、思い出してる間に寝ちゃってたんだ・・・。
「先生に指されてんのに、全く起きなかったんだよー？」
「え？！」
「うんうん。村瀬も『疲れてるみたいだから、ほっといてやろう。』って言ってたしー！」
「うー、まじか～・・・。」
やばいなー。
知らず知らずのうちに、ストレスたまってんのかな？
だるーい体を支えながら、私ははーっとため息をつく。
「疲れてんだったら、ちゃんと休まないとー！ソラが倒れたら、あいつも心配しちゃうでしょー？」
あいつ？
って、だれ？
にしし、と笑うヒヨリに、私は首をかしげる。
「え、誰？」
「またまたー！さっきもみんなに見せつけてたくせにー！」
ああ。
コカゲのことだ。
そんなんじゃないって言ってんのにな～。
やれやれと思いながら、苦笑いをうかべる。
「コカゲのこと言ってんなら、ちがうよー？私たち、ただの友達だもん。」
「ええー？うちはそーは思わないけどー？」
「・・・ヒヨリって、意外としつこいよね。」
じとっとした目でにらむと、ヒヨリは楽しそうに笑った。
「そーですかぁー？」