そしたら、一人の女のこと目が合った。
「あ、ソラじゃーん!」
そう声をあげたのは、クラスメイトのアイ。
運動も勉強もできちゃって、しかも顔もかわいい。
「おーっす。みんなどしたのー?」
「ソラこそなんでここにー?」
「えーっと・・・、ちょっと買いたいものがあって~。」
袋を持ち上げてみせると、集団の中の誰かが言った。
「あ、もしかして!コカゲと遊びにいく時に履いてくやつ??」
ぎくっ!
「え~っと・・・。」
言葉をにごらせる私に、一人の子がぽつりと言う。
「ふ~ん。2人って、付き合ってるの?」
その冷たい声に、だんだんあせってくる。
「え、ちがうちがう!付き合ってなんかないよー?」
やばい、ちょっとめんどくさくなりそう。
冷や汗が止まんない。
「そっかー。じゃ、また明日ねー!」
「うん、また明日・・・!」
だけど、納得してくれたみたい。
みんな手をふりながら、私から離れてく。
あせったぁー・・・。
ほっとため息をついていると、さっきの集団の子の一人が、こっちを見ているのがわかった。
バイバイって言おうとしたけど、それはできなかった。
だって・・・、すごい目つきで、にらんできていたから。
「・・・っ。」
冷たい、凍るような瞳。
息がつまって、酸素が入ってこなくなる。
怖い。
こればっかりは、やっぱり慣れない。
実は私、恨まれやすい。
コカゲと『彼女でもない』のに一緒に帰ったりしてるからだと思う。
クラスの女子の大半は、私たちのことを応援っていうか見守ってくれているけど、他のクラスだと違うみたい。
だって、コカゲってけっこー人気あるんだもん。