校長の話、ながいもんなー。
忘れないように、ラムネとか食べなきゃ。
『あ、てかさー。』
『んー?』
『これ、コカゲから。』
私の手に差し出されたのは、レモンサイダー。
コカゲが、よく飲んでる種類のやつ。
『コカゲってばさー、超心配してたよ?おかーさんみたいだったー。』
『そーなんだ。』
『しかも、メモ紙ついてる!見てみ?』
言われるがまま、ペットボトルの底を見ると、少しぬれたメモ用紙がついていた。
そこには、一言だけ書いてあって。
(おだいじに。)
って、めちゃくちゃ汚い字。
『あいつ、うちにすごい顔してわたしてきたきたんだよー?」
けらけら笑うマコトに、笑い返そうとする。
でも、できなかった。
顔が、真っ赤だったから。
私はその時、気付いた。
自分が、コカゲのことが好きだって。
『んじゃ、落ち着いたらもどってきてねー!』
そう言い残された直後に、私はペットボトルをだきしめていた。
なんだかわかんないけど、泣きそうだった。
恥ずかしくて。
嬉しくて。
苦しくて。
その思いをぶつけるように、ふたを開けた。
爽やかなレモンの味は、私の恋の味だった。



あの時のことを思い出すと、今でも泣きそうになる。
私は涙をあわてて飛びちらさせて、アイスを一口。
「おいしー・・・。」
限定のチーズケーキ味に感動しながら歩いてると。
目の前に、同じ制服の女の子たちを見つけた。
え、誰だろー?
珍しいなと思いながら、さりげなく近づいてみる。