私は飛び退くようにして、虎道寺くんから5メートル以上離れた。
危ない、危ない。
虎道寺くんは女の子を見たら、殴っちゃうんだよね。
「お前、やっぱり女だったんだな。」
虎道寺くんが顔を横に向けたまま、口を開く。
「.........知ってたんですか ? 」
「俺は女が近くにいると鳥肌がたつ。」
それはそれは、かなりの女嫌いだね。
だから私をあんなに睨んだのかぁ....
「それよりその頭、どうにかしてくれ。」
「あ」
今の私は、カツラなしの状態。
でも屋上から落ちちゃったし.....
「実は屋上からカツラが落ちて、取りに行けないんです。」
「何やってんだよ。」
「ごめんなさい...」
悪くないのに、つい謝ってしまう。
すると急に黙り込む虎道寺くん。
何を考えているんだろう ? と思っていると意外なことを言い出した。
「俺が取りに行ってやる。」