季節は冬。


白い息を吐きながら、
私は高校の合格発表を見に来ていた。

と言っても受験したのは、私ではなくお姉ちゃん。
今日は付き添いで一緒に来た。


でも、来年は私も高校受験だから、
他人事ではない。


お姉ちゃんが受けたのは、

『花桜中央高校』

この地域ではかなり名門校。

有名大学に入学する人も多い。

勉強ができるお姉ちゃんなら受かるのは当然と思っていた。
それでも不安はあるみたいだった。


番号は「358」番号。

何百とある数字の中から、
ひたすらその数字だけを探した。


「358番、358番・・」



すると、突然、

「みさきあったぞ!」


と、隣から男性の大きな声が聞こえてきた。

あまりにも大きな声だったので、近くにいた人のほとんどが振り向いてしまった。


そもそもも、私の名前も『みさき』だし、よけいに反応してしまった。


「もう!声が大きい!」

男性の隣にいた女性は顔を真っ赤にしながら怒っていた。

周りの人はすぐ、向き直り、自分の番号を探しはじめたり、
友達と話し始めたけど、私はそのみさきと呼んだ男の人を見た瞬間

ートクンー

と、胸がはじけたような音が鳴り、その男の人に釘付けになってしまった。


「やったな、みさき。おめでとう!俺も来年後追うからな!!」

「本当に?約束だよ!来年頑張ってよね!」

「まかせときな!!」

そう言うと周りの目を気にすることなく、みさきと呼んだ女性を
ギュッと抱きしめた。

「ばか!やめなさい!人がいるでしょう!!」

もう一人のみさきは顔を真っ赤にして、怒り始めた。

男の人は離そうとせず、ギューッと抱きついたままだった。

そんな二人のやり取りを横で見聞きしながら、私はずっとドキドキが止まらなかった。