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ここの学校の屋上は、普段は鍵がかかっていて使えない場所だったらしい。


しかし、"あの人"とかいう奴が職員室から鍵を盗んで合鍵を大量に作り、それをバラ撒いたんだとか。


ったく、どこの馬鹿がそんなことしたんだか。


てか……ここの階段多すぎじゃね?

そろそろ疲れんだけど。


屋上へと続く階段を上りながら、軽くため息をつく。


俺に用があるなら直接来ればいいものを、何でわざわざ呼び出したのか。


人遣い荒ぇよな、"怪物"も。



コツ、コツ、コツ……



静かな階段に、俺の足音だけが響く。


……ふと、思ったけど。

不気味だ。


いつもなら必ず誰かが階段にいるのに、今日に限って誰もいない。


"怪物"がそう指示しているのか、それとも誰も近づこうとしないのか。


どちらにせよ……不気味であることには変わりない。



「嵐の前の静けさっていうのか?こういうの」



柄にも無く独り言を呟いている時点で、俺はこの時、もう既に何かを感じていたのかもしれない。





──このときはまだ、俺は気づいていなかった。



俺"自身"の、力に……


そして──…





アイツの狂気に。