──昼休み。
「なぁ、アイツじゃね?"あの人"に喧嘩売った馬鹿って」
「マジ馬鹿だよなー。"あの人"とやって勝てるわけねぇのに」
「髪染めて調子乗ってるから目つけられたんじゃね?」
「にしてもツイてねぇよな、よりによって……なぁ?」
「ま、生きて帰ってこれたら褒めてやろうぜー」
そんな会話が、教室…いや、学校中から聞こえてくる。
ったく、余計な世話だっつーの。
……そろそろ行くか。
苛立ちを抑えながら席を立って、隅で固まっている奴らを押しのけて教室を出る。
俺が勝って帰ってきたら、さっきの奴らはどう思うんだろうな。
驚いた顔が、目に浮かぶ。
「……ふん」
ただの中学生だと思ってるなら大間違いだ。
鼻で笑いながら、俺は屋上を目指した。