「……"あの人"は、この第二中学校で最も恐れられてる人なんだ」


「…名前は?」


「言えねぇ…。言った奴は、"あの人"に殺されるからな」



そんなに正体をバラしたくないのか?

"あの人"とかいう奴は。



「"あの人"は、その強さと冷酷さから、"怪物"とも呼ばれてる」


「怪、物…」


「とにかく、意識を失いそうになったら降参した方がいい。じゃないと、誰かが止めるまで永遠に殴り続けられて半殺しにされるから」



うわ…

本当に怪物だな、そいつは。


加減ってもんを知らねぇのか。



「俺は、このことを栗原修也に伝言しろって"あの人"から言われただけだから……もう行くわ。じゃあな、生きて帰って来い!」



すっくと立ち上がり、その男子生徒は教室から走って出ていった。




生きて帰って来いって…俺が死ぬわけないだろ。


その"怪物"がどんなに強ぇか知らねぇけど、この学校で、俺に勝てる奴なんていない。


そいつを殺って、そのお高い鼻を折ってやる。