「ちょ、待って!?何でハッキングなんてしてんのバカじゃないの!?」
「いや、母さんもしてたろ」
「私はいいの!!
でも、え!?教えてないよね私!?」
「教えられてない。独学」
「えぇぇ!!?」
…そんな、驚かれても。
数年前から結構やってたんだけど。
「まさか、今まで気付かなかったのかよ」
「自分の息子がハッカーしてるだなんて普通思わないし!!」
「そこは察せよ」
「どんな疑い深い母親なのよ!!」
……さっきもやったな、このやりとり。
「ていうか……この機転、スピード、正確さ。私を超えたわね…」
「普通だろ、これくらい」
「ハッキングしてる時点で普通じゃないでしょ」
「うっせーな。……ハンマー貸せ」
重そうなハンマーを手に取り、トントンと手に叩きつけてみる。
重さは充分だな。
その威力を確認して、画面が完全に落ちたパソコンの前に立つ。
「あ、歩?それ何に使う気?」
後ろから恐る恐るといった感じで声をかけてくる母親。
何って……
「見てりゃ分かる」
「まさかとは思うけど、そのまさかじゃないわよね?」
ハンマーを軽く振り上げて、フッと笑った。
「多分、"まさか"だ」
───バキンッ!!