──1分後。




「歩ー!!ハンマー見つけてきた!!」



ドタドタ走ってきた母親のせいで、また部屋が騒がしくなった。


その音でハッとし、パソコンから目を離す。



「……マジで持ってきたのか」


「はぁ?だって持ってこいって言ったわよね?」


「そう言われればそうだけど。まぁいいか」



うるさいから部屋の外に出すため……なんて言ったら殺されるな。


ここは黙っておくか。



「そんなことより、終わったけど」


「え!?ホント!?」


「あぁ。今、データが送られてきてる」



八方塞がりの状況で、俺がとった行動。


それは、ウイルスによってデータが全部消滅させられる前に、俺のパソコンに移すことだった。


データをコピーしてファイルを移し、一時的に保存。

んで、後から新しいパソコンに送ればいいってワケだ。


目を輝かせていた母さんは、俺のパソコンの画面を確認するなり無表情になった。



「……待って、歩。何したの?」


「何って、そのパソコンにハッキングしてデータを移してる」


「は、ハッキングぅぅぅ!!?」



部屋中に響くデカイ声で叫ばれ、思わず顔をしかめる。


いちいちうっせーな、ほんと。