✝諒真side✝
バタンと扉が閉まり、部屋に静寂が訪れる。
俺も真浩も何も言えず……ただ立ち尽くしていた。
いや、正確には、真浩は座っているんだが。
「……怒らせ、ちゃった…」
乾いた笑いと共に聞こえた、そんな言葉。
ベッドを見ると、真浩はシーツを握り締めて俯いていた。
「ねぇ諒真さん……歩と何か話したの?
諒真さんが何か言ったから、歩はいきなりあんなこと…?」
顔を上げてそう尋ねてきた真浩の顔は、本当に悲しそうで。
俺も初めて見る顔だった。
「……俺は、蓮央が言ってたことを伝えただけだ。そしたらアイツ、急に『降りる』って言い出して……」
「総長は、何て言ってたの?」
「もう一度チャンスをやるから、倉庫に来いって」
「……そっか」
心当たりがあるのかないのか、悲しげに笑う真浩。
それっきり黙り込んでしまった。