持っていた鞄を放り投げ、胸ぐらを掴みあげる。
小柄な榊真浩は、軽々と持ち上がった。
「……誰に向かってそんな口聞いてんだよ」
「あはは、その目いいねー。殺気に溢れてるよ?栗原修也君」
またかよ。
どいつもこいつも名前間違えやがって。
「修也じゃねぇよ!!俺は…!」
「あーそっか、歩だっけ」
「あぁそうだ!!………って、は?」
本名を言い当てられ、目を丸くする。
何でコイツ、俺の名前知ってんだよ……
「あはは、驚いてるねー」
あははじゃねぇよ。
「何で……名前、知ってんだ」
「さっき自分で言ってたじゃん。『俺の名前は栗原歩だ』ってさ!」
さっき?
それって…屋上か?
金髪の男子に言った言葉を思い出す。