「…行かせねぇぞ、歩。説明しろ」


「そのままの意味だけど」


「っ、じゃあ、蓮央の誘いには乗らないってことかよ」


「……あのさ」



掴んでいたドアノブを一旦離し、俺より少し背の高い銀髪を見上げる。


きっとコイツは、何も分かってない。


俺の『降りる』が、どんな意味なのか。

俺が、何を言いたいのか。



「もう、俺に関わんな」


「…何言ってんだ?俺ら仲間だろ?」


「俺はお前らの仲間じゃなければ、友達でもない。迷惑ごとに巻き込まれたただの被害者だ」



そう。


俺らの間に、友情とか、信頼とか、そんなものは初めから存在してない。



「被害者って…それじゃあお前、今まで嫌々俺らといたのかよ」


「当たり前だろ」


「……はっ…何だよそれ……」



銀髪の口から、乾いた笑いがこぼれる。


それなのに、その目は揺れていて。


俺はその目を無表情で見返すことしかできない。