「お、落ち着いて聞け。
『もしお前が階段まで辿りついたら少しは認めてやったが、それも出来ないんじゃ話にならねぇ。坊主にして出直せ』」
「…やっぱ殺す」
「ちょおぉっ!?待て、落ち着け!!
おいおいおいハサミなんか何に使う気だよ待て待て待て!!!」
……ん?
俺、いつの間にハサミなんて持ってたんだ?
気付かなかった。
「……無意識か」
「おい待て今スゲェ怖いこと聞こえた」
「気のせいだ。続けろ」
心なしか、銀髪の顔が少し青ざめているような。
「……言うから、ハサミは窓から投げ棄てろ」
「は?何でだよ」
「俺の命があぶねーからだよ!!」
「いちいちうっせーな。分かったよ」
恐らく榊のものだと思われるハサミを窓から投げ棄てる……ふりをして体の後ろに隠し、再び座る。
人のモノ勝手に捨てるのはさすがに気が引けるから。
「よし、これで凶器はないな。頼むから、怒らずに聞けよ?マジで頼むから」
「あぁ」
「…信じ難いけど、まぁいいか。
『だが、お前のその目は気に入った。
もし本気で幹部になりたいなら、あと一度だけチャンスをやる』……だとよ」
「チャンス…?」
「『この倉庫で、来週の今日。時間はいつでもいいが、23時には倉庫を閉めるからそれまでには来い。条件は今回と同じ、200人を相手にして2階に上がってくることだ』ってさ」
へぇ。
あの総長、またやる気なのか。