『友達を守りたいって思わねぇのか?』


……真っ暗な闇の中で


アイツの声がする。



悪魔の声が。



『歩……!嘘、だよな…?』


アイツの声も、聞こえる。




『泉里(センリ)……』


そして……あのときの俺の声。





……なぁ、神様、いるなら教えてくれよ。



あのとき俺は、どうすれば良かった?

どうするべきだったんだ?


俺は、ただアイツを守りたいだけだったんだ。


なのに。



『……っざけんな!歩!!』



どうして、こうなっちまったんだよ。


汚れたアイツは、見たくなかった。



『…泉、里……』


『死ねよ。裏切り者が』




弱くて、弱くて、弱くて。


結局俺は、何も守れない。


自分の思いを利用されて、その結果大事な奴を傷付けて。



仲間も、友情も、居場所も。


大切なものは何一つ、残らない。



残るのは空虚だけ。




……それなら、さ。








はじめっから、何も無い方がいいだろ?