幹部室らしい部屋のドアが閉まると、銀髪が盛大にため息をつく。



「はぁ…蓮央から話があるとか、嫌な予感しかしねぇ」


「ねぇ諒真さん、そんなことより歩を……」


「お、そうだな!……おい歩、平気か?」


「…どう見ても平気じゃないでしょ。
バカなの?諒真さん。いや、バカだよね?」



榊が言うのももっともだ。


呼吸は速くておかしいし、手足は動かないし、座っているのもままならない。


気を抜けば倒れて意識を失いそうな中、気力だけで意識を保っているというのに。



「うっせーよ、バカバカ言うな真浩っ!」


「でも、実際バカだよね?」


「バカじゃねーよっ!!」


「え!?まさかの無自覚!?」


「そもそもバカじゃねぇし!!」



くだらないことで言い合っている2人を見ているうちに、俺の意識が薄れ始めてきた。


全身が電流を流したように痺れて、自然とまぶたが落ちてくる。



あー……

俺、なんかすっげーダセェ。


自分の力でどこまでやれるか確かめる、とか啖呵切っておきながら、結局こうかよ。


俺1人じゃ、【睡蓮】の雑魚も殺れないってわけか。



これで、他の奴に負けるのは2度目…か。



もっと強くならねぇとな……


もっと……




「…おい、歩っ……!!」




銀髪の焦る声を聞いたのが最後、俺は一瞬にして意識を失った。