「そこの茶髪も同様だ。扱いづらい幹部は求めてないってさ」
「……」
榊は無言で本条を睨みつけている。
しかしそれに怯むことなく、本条は立ち上がった。
「残念ながら、試験は不合格だな。これ以上やっても無駄だ。ほら、お前らも散った散った!」
本条がヒラヒラと手を振ると、男達は戸惑いながらも去っていく。
それを確認して、今度は銀髪に目を向ける。
「諒真ぁ、この赤いの、だいぶ危険だ。すぐ連れて帰ってやれ」
「え?…あ、おぅ!!」
「あ、それと」
俺の方に走って来ようとした銀髪の腕を掴み、鋭い目つきで銀髪を睨んだ。
「……その後、すぐにここに来いよ。蓮央が話があるってさ」
「……分かった」
「ん。そんじゃ、後は頼んだ」
それだけを言って再び去っていこうとする本条。
その背中に、俺は慌てて声をかけた。
「おい、本条!!」
ピタリと立ち止まって、顔だけを俺に向ける。
「……何だ」
「…総長に伝えろ。2人を相手に200人用意するのは卑怯すぎるってな...」
「卑怯……?お前なぁ、勘違いしてんじゃないのか?」
本条は呆れ気味に言い、ため息をついた。
「ここに来たのが1人だけだったら、すぐにタイマン張らせてるっての。わざわざ殺すようなことはしない」
「……じゃあ、何で俺らには200用意したんだよ」
「来たのが2人だからだ。それもお前らみたいな2人組。
...後は自分で考えろ。んじゃあ...またな?」
不敵な笑みを残して、本条は立ち止まるとなく2階へ上がって行った。