真っ黒な髪をサイドに流して片側を編み込んでいる、漆黒の瞳の男。


服は白いシャツに黒いパンツで、特別着飾っているわけではないのに、どこか洒落た雰囲気を醸し出している。



「…お前らが、蓮央に喧嘩売ったバカか?」


「……あぁ?何だよ、お前…」



初対面でバカ呼ばわりされてイラついたが、この男がただ者でないことは見て取れる。


周りの反応からしても、多分コイツは……



「【睡蓮】副総長、本条圭太。16歳」



……やっぱり、副総長、か。



「ハハッ…。こんな時に、とんでもないのが出てきちまったってワケか……」


「そうでもないな。だって俺、お前らとやる気はねぇもん」


「…は?」



俺らとやる気は無い?


なら何で……ここに来たんだ?


俺の疑問を感じ取ったのか、本条はニヤリと笑って俺の前に屈んだ。



「蓮央から伝言。とっくに5分過ぎたからタイムオーバー、つまり帰れ」


「はぁ…?タイムオーバー……?」


「あぁ。お前言ったんだろ?『5分でやってやる』ってさ」



そう言えば、言ったような気がしなくもない。


今考えれば…200人を5分でとか、舐めてたな。