「調子乗ってんじゃねぇぞガキがっ!!!」
「ぐ、っ……!」
いくら喧嘩が強いと自負していても、さすがに200人の攻撃を一斉に受けると避けきれないわけで。
喧嘩開始から10分。
俺と榊は、倉庫の壁際まで追い詰められていた。
次々殴りかかって来る男たちの攻撃を防ぎながらも、体力にも限界がある。
手は切れて血が出ているし、持久走を全力でやった時のような疲労感が体を襲う。
「はぁっ……これじゃあキリがないなぁ。
どんどん湧いて出てくる」
榊も額の汗を拭いながら膝に手をついている。
目の前にはまだ100人弱の男達。
このコンディションで100人か……
正直、キツい。
現に、酸素が足りなくて過呼吸状態だし。
喉の奥からヒューッ、ヒューッという音が聞こえてくるのが自分でもわかる。
それに気付いたのか…榊が、俺の顔を覗き込んできた。
「歩……大丈夫?顔色悪いよ?」
「っ、せぇ…」
こんな状況でも他人を気遣う余裕がある榊に、妙に腹が立つ。
俺が見下されているようで……腹立たしい。
「こんなところで…へばってられるかよ……」
そう言って、一歩踏み出そうとしたところまでは良かった。