そこから数十分歩いたところで、大きな倉庫についた。


工場の近くとかにある感じの倉庫だ。



「…おし、着いた。ここが【睡蓮】の倉庫だ。連絡しておいたからみんな揃ってると思うぜ」



銀髪が立ち止まり、俺たちを振り返った。


榊は何故か目を輝かせている。



「すごい…!これが【睡蓮】の倉庫…!!」


「何で倉庫に感動してんだよ、お前」


「だって、あの【睡蓮】の倉庫に入れるんだよ!?わー!!緊張する!!」



・・・緊張するところが違うくないか?


試験とはいえ、今から喧嘩しに行くんだぞ?


コイツ、なんかズレてるな。



「よーしっ、じゃあさっそく…」


「ちょ、ちょっと待った!!」



榊が倉庫の扉に手を掛けると、銀髪はそれを慌てて止めた。


きょとんとする榊。


しかしその表情は、すぐに苛立ったものに変わった。



「何?諒真さん。僕入りたいんだけど」


「最後に、一つだけ言わせろ。
……頼むから、無茶だけはすんな」



今までないくらいの、銀髪の真剣な顔。


いつもなら何か言い返してるところだが……あまりの真剣さに、俺も榊も黙る他なかった。



「……んじゃ、行くか!」


「この雰囲気で行くの!?」



緊張感漂う雰囲気を作り出しておきながら、銀髪は重そうな倉庫の扉を開けた。