……そんなこんなで、現在に至るというわけだ。
【睡蓮】の倉庫に向かうため、俺らは家を出て道路を歩いている。
「2人共ぉ〜…歩くの早ぇよ……」
ふと背後を見ると、銀髪が坂道でへばっている。
傾斜わずか20度の坂道。
……マジでへばってるのか?コイツ。
「諒真さん、ふざけてないで案内してください。【睡蓮】の倉庫の場所を知ってるのは諒真さんなんだから」
「へいへーい。……でもさ、お前らマジで行く気かよ?」
榊と俺を交互に見て言う銀髪。
今更何言ってんだ。
呆れ顔で銀髪を坂の上から見下ろすと、榊も呼びかけるようにして言った。
「当たり前だよー。僕も、【睡蓮】の力がどんなものか見ておきたいしね」
「…そうか。別に止めはしねぇけど……死なない程度にしとけよ」
「大丈夫大丈夫〜」
「真浩はそうかもしんねぇけどよ……」
チラリと、俺を見る銀髪。
その視線にイラついた。
「何だよ。俺がコイツより弱いって言いたいのか?」
「……いや、別に」
歯切れの悪い言葉を残し、銀髪は俺たちを追い越していく。