「ぐすん……歩ちゃんにイジメられた」


「はいはい、分ったから諒真さんこっち来て座って」



しかし、榊にあっさり流され、むくれる銀髪。


あんなに喧嘩強いくせに、何だよこの乙女な反応は。



「でさ、話っていうのは、【睡蓮】にスカウトしたいって話なんだけど」



またその話かよ……



「ならないっつったろ、何度も言わせんな」


「まぁ、そのうち気が変わるかもしれないしさ。試しに、【睡蓮】の試験を受けに行ってみない?」


「試験?」



試験と言われると、ペーパーテストしか思い浮かばない。


暴走族とペーパーテスト…


繋がらないな。



「うん。【睡蓮】の幹部になるための試験だよ。合格すれば、無条件で幹部になれる……。だよね、諒真さん」



榊が銀髪に話をふると、銀髪はこくりと頷いた。



「真浩の言う通りだ。……ただ、合格率は1%くらいしかないけどな」


「そんなに難しい試験なのか?」


「いや、試験自体は簡単なんだけどよ。蓮央に気に入られんのが大変……って、悪ぃ、これ以上は言えねぇ」



そこまでいい、口を閉ざした銀髪。


蓮央…つまり、総長に気に入られるのが大変って、どういう意味だ?