「ったく……」
髪の毛をかきあげながら立ち上がり、ヘッドホンを外す。
と同時に、背を向けていた2人が振り向いた。
「榊」
「なぁに?歩っ!」
「銀髪」
「諒真だっての!……何だ?」
待ってましたというように目を輝かせている2人を一瞥し、足を進める。
「出かけてくる。お前ら勝手にやって勝手に帰れ」
「「え!?」」
「じゃーな」
こんな地獄みてぇな空間にこれ以上いられるかっての。
誘惑の嵐だ。
「まままま、待ってよ!歩!!」
慌てて追いかけてきた榊が俺の肩を引き、振り向かされる。
「何だよ」
「行かないでよ!!」
「悪いな、行くわ。そんじゃ」
「ああああ、もうっ!!分かったよっ!!」
何故か逆ギレした榊は、俺のベッドの上にボスッと座った。
そして、ゲームを差し出してくる。
「ゲーム、やっていいから。だから、僕たちの話を聞いてよ」
「いや…………いらねぇし」
誘惑に耐え、そう言ったとき。