ひとつため息をつき、鞄を肩にかけ直した。
「……分かったよ」
「ホント!?やったー!!!」
「ただし」
榊真浩の言葉を遮り、口角を上げる。
「俺がゲームに勝ったら、『歩』とは呼ばせねぇからな」
「へ?」
きょとんとする榊真浩。
しかし…その意味を理解したのか、ニヤリと笑う。
「……分かった、栗原君。その代わり、栗原君が負けたら、僕を名前で呼んでよね」
「あぁ」
向こうからどんな条件が出されても構わない。
だって、俺は絶対負けないから。
喧嘩とゲームで負けたことは一度もないからな。
今回だって、勝つに決まってる。
───そう思っていた俺は、もしかしたら
馬鹿だったのかも……しれない。