ドタドタと階段を上っていった銀髪を見送り、榊真浩はため息をつく。
「はぁ…。ごめんね、栗原君。諒真さんってすごく女癖が悪くてさ。しょっちゅう僕の家に連れ込んでるんだ」
「……いや、俺は別にいいけど。知らない女を連れ込まれて困るのはお前だろ」
「んー。別に困ってはいないよ?でも、女がこの家にいるってことを考えたら吐き気がしてたまらないから」
えへへと笑う榊真浩は…大の女嫌いなのか。
いくらでも女が寄ってきそうな顔して、さらっととんでもないことを言うんだな。
「ねーねー、歩」
「何だよ…って、いつ俺が名前で呼んでいいっつった」
ギロリと睨むと。
「だって、栗原君だと長いんだもーん!
あ、それよりさ!」
無邪気な笑顔で流された。
「僕の部屋に、歩が好きそうなゲームがあるんだけど……やらない?」
俺が好きそうなゲーム?
・・・気にはなるけど。
「……やらねぇ」
「いいの?まだ発売されてない、モンスター狩猟ゲームだよ?」
も、モンスター狩猟ゲーム!?
……くそ、俺が発売を心待ちにしてたやつじゃねーか。
「あ、やらないならいいんだよ?僕と諒真さんだけでやるから~」
わざとらしく言いながら、ニヤニヤ笑っている榊真浩。
コイツ……俺をからかってやがるのか。
その手に乗るか、と、いつもなら断っているところだ。
……けど、そのゲームの発売日は1ヶ月後。
今断って、後悔するのは目に見えてる。
ここで断るのは、きっと馬鹿だ。
…俺は馬鹿じゃない。