「おい、2人とも」
本条に呼ばれ、振り向く。
銀髪を叱咤していた俺は真浩に1拍遅れた。
「合格だとよ、お前ら」
「...合格?」
本条の言っている意味が分からない。
何だ、合格って。
俺らそういう試験とか受けてたか?
「は!?うっそだろ、マジかよ〜!!」
銀髪は頭をさすりながら1人で騒いでいる。
状況を把握できない俺らに、今度は南が説明した。
「どんな奴にも物怖じしないその度胸と、幹部クラスの喧嘩の強さ。
オマケに大型バイクの運転技術に、相手を翻弄する話術も兼ね備えている。
お前ら2人は【睡蓮】幹部に申し分無い」
は……?
睡蓮、幹部?
そういや……幹部になるための試験を受けに来ていたんだっけか、俺ら。
全くその気は無かったけど。
「そして、何よりの決め手はだな」
そう言った後、南は銀髪を真っ直ぐに指さした。
「このアホと対等に付き合えるってことだ」
「はぁ?」
それこそ意味が分からず、目をしばたかせる。
今度は銀髪も、だ。
「実はな、諒真のアホに一喝入れてくれる奴を探してたんだ。な、圭太」
「あぁ、かなり真面目に募集してた」
「んで、さっきの会話を聞いて、即決したよ。
お前ら今日から【睡蓮】の幹部な」
さっきの会話って……
もしかしてアレか?
俺と真浩で銀髪を殴りまくってたヤツか?
確かにかなり罵倒してたのは認めるが...。
「幹部をそんなので決めていいのかよ...」
「結構重要なポイントだぞ。
見つかんなかったら諒真は寺にでも入れようかって圭太と話し合ってたしな」
「寺……」