すると、上から見ていたらしい本条が姿を現した。


相変わらず洒落た格好をしている。



「確かに珍しい人種だな。
理由も無しに族に入りたがるなんて」


「だったら何だ。悪ぃかよ」


「歩...だっけか、お前。
新参者のそういう俺らに対する態度なんか、今まで見たことねーぞ」


「…アンタらはまだ “先輩“ じゃないんで」


「相っ変わらず生意気な奴だなー。
……で?俺らとタイマンはりたいのか?」


「そういう約束だろ」



確かにそうだな、と言って、本条は南の隣に立つ。


2人とも、暴走族の幹部って感じがしない。


どこかの芸能人と間違えそうだ。


銀髪もムダに顔だけはいいしな…。


ある意味すごい集団だよな。



「じゃあこうするか。
タイマンは張ってやるが、そっちとこっちでは力が違いすぎる。
3分間で俺らに指1本でも触れられたら、そっちの勝ちだ」



は……?

指1本でも触れたら勝ち?


何だそれ...意味わかんねぇ。



「ふざけんな。
そんなのタイマンって言わねぇだろ」


「真面目にやってもいいが、多分秒殺だぞ」


「そんなのやってみなきゃ分かんねぇよ」


「けどなぁ……」



本条がまた言いかけたときだった。


それまで黙って見ていた南が、左手でそれを制した。



「いいだろ、圭太。
こんだけやりたいって言ってんだ、気が済むまでやらせてやろうぜ」


「お前...ただ単にイラついてるだけだろ」


「それもある」



……よくわかんねーけど、とりあえず本気のタイマンを張ってくれるらしい。


余裕そうな顔を浮かべる2人を、今すぐ殴ってやりたい。