俺らの顔を交互に見て、南は呆れたようにため息をつく。
「分かんねぇって...どういうことだよ。
何かしら理由があって来たんじゃねーの?」
「理由って?」
「例えば……そうだな、先輩が入ってるからとかか?」
そんなつまんねぇ理由で入んのか?
すげーな、最近の暴走族...。
「とにかく何かねぇの?志望理由」
志望理由、ねぇ。
腕組みしてしばらく考えてみるも、全く思いつかない。
そうだな...。
ここは思ってること言うべきだよな。
「理由、理由って言うけどよ。
楽しそうな事やるのに、理由なんか必要か?」
「……は?」
「やりたいから入る。
だいたい皆そんなんじゃねぇの?」
これが俺の本音。
暴走族も喧嘩も、俺にとってはつまんねー毎日を面白くするゲーム。
やりたいときにやりたいようにやる。
それに……
「俺が今日ここに来たのは、【睡蓮】に入るためじゃねぇ。
総長であるアンタをぶっ倒すためだ」
面と向かって堂々と言ってのけると、南は言葉を失ったように立ち尽くす。
それに追い打ちをかけるように真浩も一歩前に出た。
「僕は、諒真さんに誘われたから来たんだけど、今日は歩が来るって言ったから来てみたって感じ。それ以外に深い理由はないよ」
「……マジかよ...。こんな奴ら初めてだ...」
ガクリと肩を落とした南。
苦笑いしながらお手上げポーズを取り、後ろを振り返った。
「圭太、ダーメだ。俺じゃ手に負えねぇ」