こんなバカ話をするために来たんじゃない。


ペースにのまれるな。


呼吸を整えて、真っ直ぐに南を見た。



「……約束通り、来てやったんだ。
お前らが用意した200人は、俺らから逃げた。
条件は満たしたぞ。俺らとタイマンはれ」


「俺ら?
こないだの茶髪はどこ行ったんだ?」


「ここにいるだろうが」



右隣を指さすと、南が目を丸くした。


まぁ、その反応が普通だろうな。



「じゃーん、緑にしてみました〜!」


「……茶髪の方が似合ってたぞ、お前は」


「歩が認めてくれたからいいもーん」


「赤と緑か。ここだけクリスマスカラーだな」


「うっせぇよ。それよりも早くやるぞ」



南は俺の言葉には返事をせず、真浩のヘルメットを取って、手の中でくるくると回す。


その顔は笑っているように見えた。


...何考えてんだ?コイツ。



「……お前らさ、」



警戒して身構えていると、南が唐突に口を開いた。



「何で【睡蓮】に入りてぇの?」


「...?」



思わず真浩と顔を見合わせる。


そんなことを尋ねられても、答えようが無かった。


そんなん考えたこと無かったから。


前にこの試験とやらを受けに来たのも、強ぇ奴らと戦うためだったし。



「……分かんない。
なんか面白そうだなって来てみただけだし」



真浩が呟く。


俺も全く同じだ。


こんなの、ただのゲームとしか思ってない。