ヘルメットは……ゴールドだと?


完全にふざけてんだろ、あの野郎。


しかしメットはそれ一つしかなく、嫌がる真浩に無理矢理かぶせた。


俺はハンドルを握っているため安定しているし、飛んでいくとしたらコイツだから。



「落ちんじゃねーぞ、真浩!!」



返事は聞こえなかった。


発進させた途端、タイヤが擦れる音がしていきなりスピードが出てしまった。


倉庫の入口目がけて猛突進するこの怪物みたいなバイクを、止められない。


ぐんぐん近付いてくる倉庫。


俺達に気づいたのか、それまで呑気だった奴らが慌て始める。



「おい、何だアレ!?」


「何か突っ込んで来るぞ!!」



そんな騒ぎが見て取れた。


ここまでは順調。



あとは……コイツが止まってくれるのを祈るだけ。


ブレーキに手をかけて、少しずつ減速していく。



「歩、気を付けて!!」


「あぁ!」



丁度いいスピードになったところで、倉庫に突っ込んだ。


轢かれたくないと全員が避け、俺達の前に道が出来る。


このまま...あの階段まで行く。



……そう思っていたら。