中から騒ぎ声が聞こえる倉庫の前で立ち止まって見回す。
……よし、入口は開いてるな。
あとは……...
「あいつ、どこに停めたんだ?」
あたりを調べると、人目につかない物陰にそれは隠してあった。
赤と青のデザインの、大型の単車。
これはあの銀髪が所有しているもので、今日のためにわざわざ借りた。
俺の計画というのは、このバイクで倉庫に突っ込むことだ。
と言っても自爆テロみたいなのではなく、バイクを使った方が手っ取り早く奥まで行けると思ったから。
人を轢くつもりも殺すつもりも無い。
あくまで『移動手段』としてのバイクだ。
『頼む、絶っっっ対に壊すなよ!!?』
そんなことを言っていた銀髪の顔が浮かぶ。
もちろん壊すつもりはないが、もしかしたら『壊れる』かもしれない。
最大限、気をつけるようにするか。
近くに寄ってみると、バイクは意外と大きくて圧倒された。
乗った事は数回しかないが、まぁなんとかなるだろ。
「真浩、後ろ乗れ」
「お願いだから事故らないでね?」
「分かってる」
キーをさしてエンジンをかけると、辺りを切り裂くような爆音が鳴り響いた。
思わず俺も真浩も耳を塞ぐ。
「っ...何だこの音!!
あのバカ、耳おかしいんじゃねぇのか!?」
「絶対に鼓膜破れるこれ〜!!」
さすが族車と言わんばかりの爆音。
だからと言ってずっと耳を塞いでいるわけにもいかず、顔をしかめながらもギアを入れた。
恐らく音で『何かが起こる』事はバレてるだろうが、まさか俺らだとは思わないだろう。
混乱しているうちに突っ込む。