「...遅ぇな、あいつら」
指定の場所で待つこと20分。
もう午後の4時だ。
なのに、あいつらは一向に姿を現さない。
何してんだよ、ったく...。
寒空の下で待つ俺の身にもなれっての。
どうせ銀髪が騒いで手こずってんだろうけど。
...それにしても遅すぎる。
仕方ないからと携帯を取り出したそのとき。
「歩〜!!」
やっとアイツの声が聞こえ、安堵と呆れが混じったため息が出た。
やっと来たか。
「おっせーんだよ、お前ら」
そう言いながら携帯をしまい、振り返ると。
そこには、真浩ではない真浩が立っていた。
...いや、顔とかは真浩なんだが。
ひとつだけ大きな違いがある。
「ごめんごめん!
髪染めるのに結構時間かかってさ!」
──...それは、真浩の髪色。
あの茶色1色の地毛はどこへやら、今や緑色に染まっている。
俺の色彩感覚がおかしくなったのかと疑うくらいの変貌ぶりだ。
「……は?お前、真浩?」
「うん、僕だよ!歩みたいに染めてみたんだけど、似合ってる?」
「……割と似合ってる。が、ありえねぇ。
どっかの芸人かよ、お前...」
「そうかな?歩が赤なら僕は緑かな〜って思ったんだけどなぁ」
どっから来た、その発想。
2人並ぶとクリスマスみてぇじゃねーか。
怒りを通り越して呆れ返り、ジト目で銀髪を睨んだ。
「おい銀髪、何でお前止めなかったんだよ」
「ん?何か面白そうだな〜って」
「他人事かよ...」
「ははは、実際そうだろ?」
はははじゃねーよ!!
これから喧嘩しに行くってのにこんなフザケた格好かよ!
まぁ...染めた俺が言えることじゃねーけど。