泉里は鋭い奴。


総長のことを言い当てられそうになって、思わず遮った。


このままだと、怪しまれる。


それはなんとしてでも避けたい。


そのためには、泉里をどうにかして納得させる必要がある。

俺が悪役になったとしても、だ。


だから、心を黒く染めた。


だから…

俺はアイツを突き放した。



「いちいちうっせーんだよ、泉里!
俺はお前といたくねぇ!それだけだ!!」


「歩っ...!嘘、だよな……?」


「嘘じゃねぇっつってんだろ!
もううんざりなんだ、お前のくだらねぇお遊びに付き合うのは。だから…帰れよ!!」



頼むから帰れ。


自分を守るために、帰ってくれ。


ただひたすらにそう思った。


「わかった」と言って、去ってくれればそれで良かった。


それで全てが丸く収まった。




――なのに。