俺の中の感情はぐちゃぐちゃに絡まって、少しでも気を抜けば泉里を選んでしまいそうだった。
だから必死に拳を握りしめて、耐えた。
これも、泉里を守るため...。
「…...俺は【闇桜】に入る」
感情を込めずに吐かれた言葉を、泉里が聞き逃す事はなかった。
聞き返してくることもなかった。
少し放心した後、驚きと怒りに顔を歪めながら、俺の胸ぐらを掴みあげた。
「...ッ、お前何言ってんだよ!!気でも狂ったのか!?」
「別に狂ってねーよ...」
「だったら何で、そんなこと…!」
仕方ねーだろ...?
これ以外に方法がないんだから、さ。
お前を、あの悪魔から守るには...。
「なんで今更コイツらの下につくんだよ!!
2人でやるっつってたろうが!」
あぁ、言った。
2人でこの街をまとめるくらい強くなろうな、なんて話をしたりもした。
その夢...まだ、諦めてねーよ……。
「相棒が俺じゃ不満かよ、歩!」
まさか。
俺の相棒がお前だなんて、俺にはもったいないくらいだ。
「お前にとって俺は、そんなもんなのかよ!
あの総長に何か言われたのか!?
もしそうなら、そんなの……」
「うっせぇな!!」