どんな代償を払ってでも、アイツだけは守りたかった。
馬鹿な選択だってことは承知の上。
アイツが怒ることも、予想はつく。
けど、これもアイツを守るためだ。
泉里...ごめんな。
「……分かった。その条件、のんでやる」
「物わかりが良くて助かるな〜」
「その代わりアイツには一切手を出すな。
出した瞬間、お前ら全員を命にかえても殺してやる」
「はいはい、分かってますよ〜っと」
軽い調子で返事をして、楽しげに口を歪ませる。
――こいつは狂ってる。
何となくそう思った。
他人の大切なものを玩具のようにしか思わない、狂ったヤツ。
こんな男の下につくなんて、考えただけでも虫唾が走る。
…つーか、泉里、絶対激怒するよな。
アイツが怒ったのを見た事はねーけど、相当ヤバそうだ。
総長じゃなくて俺に殴りかかってきたらどうすりゃいいんだ?
...ま、そのときはそのときか。