「今から、お前のお友達がここに来る」


「泉里が...!?」


「お前がここにいるって言ったら、怒り狂って喧嘩を売ってきたってよ」



……馬鹿なヤツ。


この男に喧嘩を売ったところで勝てるわけがねぇ...。


と思う反面、泉里がとった行動に少し嬉しくなる俺もいた。



「そこで、だ。
その泉里ってヤツが来たら、俺はそいつを病院送りにするつもりでいる」


「はっ...?」


「少しも容赦はしねぇ。
骨が折れようが意識が飛ぼうが、気の済むまで殴り続ける」


「な、に言ってんだ…!!ふざけんな!!
テメェそんなことしやがったらぶっ殺す!!」



今にも殴りかかりそうな俺を一瞥して、「だから取り引きだよ」、と総長は笑う。



「お前さぁ、なかなか喧嘩強ぇし。
俺らの仲間にならねーか?」


「あぁ!?なるわけねーだろ!!」


「そうか。なら、泉里は死ぬけど」


「っ、...!」


「...分かったか?取り引きの内容」



すぐにでも殴りかかって、そのキレイなツラを潰してやりたかった。


どうしようもない苛立ちが襲ってきて、握った拳から血が垂れた。


...コイツらの仲間になんかなりたくねぇ。

人を小馬鹿にしているコイツの下につくなんて、俺のプライドが許さない。


けど、俺のプライドより大事なもんがある。


それは──…



「友達を守りたいって思わねぇのか?」



俺の、たった1人の “友達“ 。




その時の俺の頭には、泉里を守ることしかなかった。