事態が急変したのは、その数週間後だった。
休日、いつものように音楽を聴きながらゲーセンへ向かっていた時。
携帯を片手に歩いていた俺の前に、数人の男が立ちはだかった。
見上げると、俺とそんなに歳が変わらなそうな奴らで、見た感じ不良。
1人1人の顔を眺めていると、見覚えのあるのがあった。
腫れた顔で、異常なほどに俺を睨みつけている。
あれは...こないだ俺と泉里を襲ってきた奴らか?
ってことは、こいつら【闇桜】か。
「おい、コイツで間違いねーのか?」
「はい。もう1人茶髪の奴もいました」
「まぁそいつは後で探すとしようぜ。
やっと1人目が見つかったんだ」
この中ではリーダーっぽい奴が、顔の腫れた男に確認する。
いかにも面倒くさいといった顔で、俺を見下ろしてくる。
「おいガキ、ちょっとツラ貸せ」
「...別にいいっすけど」
ヘッドホンを外して首にかけ、男達の後をついていく。
きっと路地裏かどこかでボコるつもりだろうが、弱いヤツらが数人集まったところで所詮俺には勝てない。
そう確信していた。