……それからは、俺が手を貸すまでもなく。
泉里が全員を半殺しにしてしまった。
あーあ...
何やってんだか。
「はーっ、呆気ねぇな、年上のくせに!」
既に意識のない5人をもう一度蹴飛ばして、機嫌の良さそうな泉里が歩いてくる。
...悪魔だな、コイツ。
「つーか歩、少しは手伝ってくれてもいいだろ。何で傍観してたんだよ」
「いや...俺が手を貸さなくても圧勝してるし」
「はは、まーな。
コイツらどうせ【闇桜】だろうし、あんま怖くねーからやっちまったわ」
「やみざくら?」
「あれ?歩、【闇桜】を知らねーの?」
「そんなもん知るか」
泉里いわく、【闇桜】はこの地域の弱小暴走族。
メンバーは15、6人、その素性は明らかではないが、大して活動はしていないらしい。
要するに、他チームに力で押さえつけられている暴走族か。
「噂によると、【闇桜】の総長、滅多に集会に顔を出さないらしいぞ?
そんなグダグダな暴走族、怖くねーよな」
「実際こいつら弱ぇしな...」
こんな弱いヤツらでも、暴走族の端くれか。
時代が時代だけにもう栄えないのかもな。
...ま、俺は族なんて入る気ないけど。
「つーことで!歩、街へ遊びに行くぞ〜!」
「お前さっきから意見変わりすぎだろ...」
このバカと騒いでる方がよっぽど楽しい。
俺に他の仲間なんていらない。
そう、信じ込んでいた。