ため息をひとつ吐き、目の前で仁王立ちする高校生をダルさ全開の目つきで睨む。
「...いちいちうっせーな。
鞄投げられたくらいで喚くんじゃねぇよ」
金髪リーダーは驚いたように少し目を見開いた後、目をつり上げて俺の胸ぐらを掴んだ。
あー、怖い怖い。
...が、こういう脅しに怯む俺じゃない。
「..…言っとくけどな、病院送りにされんのは俺じゃなく、お前らだ。
それでもいいならかかってこいよ」
「ハッ...ガキが調子のんな!!」
ブンッと風を切って飛んでくる拳。
面倒くさいと思いながらも、黙って立ってそれを受けた。
次の瞬間、頬に伝わる、熱くて大きな衝撃。
バキッ、といい音がした。
「あ、歩!?何殴られてんだよ!」
泉里が倒れた俺に駆け寄り、起き上がらせようとする。
それを見た金髪は俺を馬鹿にしたように高笑いした。
「ハハッ!!口ほどにもねぇな!!
黙って殴られてやがる!!」
...どいつもこいつもバカだな。
俺が何も考えず、ただ殴られるワケないっての。
服を掴む手が邪魔だったから、離してもらうためにわざと受けただけ。
でも...お陰で体は自由だ。