「...アレ、その3年の仲間じゃねーの?」
「あー、そうかもな」
「さっさと行って片付けてこいよ」
「え、1人で5人!?無理無理。
...なぁ歩。俺ら親友じゃん?」
満面の笑みで、去ろうとする俺の肩に手を置く泉里。
俺は無言で睨み、その手をパシッと払った。
「...親友じゃねぇし」
「いや、親友なんだよ!
俺の第六感がそう言ってる!」
「んなもん信じるな。1人で行け」
これ以上面倒くせぇことに巻き込まれてたまるか。
ただでさえ、毎日変な奴らに絡まれて迷惑してるってのに。
その思いを込めもう一度睨むと、泉里は「はいはい」と俺に背を向けた。
そして、突然高校生たちの方を指さした。
「なぁー歩、アレ何だ?」
「アレ...?」
「ほら、アレだって」
と言う泉里が指さす方向には、高校生たちしかいない。
...何が言いたいんだ、コイツ。
俺達の視線に気がついたのか、高校生たちも後ろを振り返ったりし始めた。
「...何もねぇじゃねーか。帰るわ」
次第に苛立ち始め、もう帰ろうと踵を返した、その時だった。
手を肩に乗せるようにして持っていた鞄が、急に消えた。
そして、
「くらえーーっ!!!」
泉里の怒声。
・・・はぁ!!?
まさかと振り返った時には、時すでに遅し。
俺の学生鞄が、不良5人組集団の中央に激突していた。