「いてて。コンクリートって案外硬いんだな」



そう言って足をさするコイツの顔には、痛みなんかに歪んでいるようには見えず。


ただ、楽しそうにニヤニヤと笑っていた。


……信じられねぇ...。



「...てめぇ...なんつー蹴りを入れんだよ……」


「こんくらい、普通だろ?」



どこがだ。


避けたからいいものの、あれが頭に直撃していたら1発で死んでいた。

脊髄は、間違いなく折れていただろう。



「俺を殺す気か?」


「まさか。ただ試してみただけだって」


「試す...?」


「だってよ、さっきの2人組とやってるとき、まるで反抗しなかっただろ?
俺は興味ありませーんって顔してさ」



興味?

あるわけないだろ。


あんなくだらない遊びに付き合ってられるかよ。



「てか、さっきの避けるとかお前すげぇな!
何か習ってんの?空手?」


「...合気道」


「マジかよ!?」


「嘘に決まってんだろ」



冷めた目線を送ると、そいつはおかしそうに笑った。



「お前おもしれーな!
何組の誰?俺、3組の間宮泉里!」


「...5組の、栗原歩」


「歩か、よろしくな!」